映画はあまり得意ではない(映画歴浅い)けれど
ヒッチコック監督作品はほとんど見ているよ!
恐喝(ゆすり)についての概要
1929年イギリス時代のアルフレッド・ヒッチコック監督の作品。上映時間85分。主演アニーオンドラ
ヒッチコック初のトーキー作品。サイレント版とトーキー版がある。
ヒッチ29歳のときの作品
10作品目にあたる
ざっと掴もう、1929年とは?
・2022年から93年前。和暦は昭和4年。世界恐慌が起こった年。
・映画ではサルバドール・ダリの「アンダルシアの犬」が公開(眼球カミソリで有名。なんでかDVD持ってます…!)
・ジブリの「紅の豚」は1930年ごろのイタリアが舞台と言われている。
・ヒッチコック関連で、グレース・ケリーが11月12日に誕生している。
キャスト
アリス・ホワイト:アニー・オンドラ
フランク・ウェバー刑事:ジョン・ロングデン
画家クルー氏:シリル・リチャード
ゆすり屋トレーシー:ドナルド・カルスロップ
アニー・オンドラはヒッチコック作品では他に「マンクスマン」(1929年)に出演している
この「恐喝」での出演で最初の「ヒッチコックブロンド」ともいわれている
恐喝(ゆすり)のあらすじ(ネタばれ注意)
冒頭はロンドンの刑事たちが犯人を逮捕して調書を取り拘留するといった様子をスピーディに見せている。
1日の仕事が終わり洗面所で手を洗いながらなごやかな様子で会話をする刑事たち。(手錠を持っていなければまるで普通の会社の事務員のようだ)
そのうちの1人の刑事・フランクのガールフレンド・アリスは彼の仕事が終わるのを警察署の入り口で待っていた。
2人はレストランへ行くがちょっとしたことで喧嘩別れをしてしまう。
フランクはレストランをいったん出るものの少し後悔してかアリスのもとへ戻ろうとするがアリスは別の男・画家のクルー氏と出て行く。仰天顔のフランク
アリスを部屋に誘うクルー氏。それを目撃している男がいる。クルー氏いわく近所のゴロツキのようだ。(トレーシー)
彼のアトリエではじめは楽しそうに過ごすアリスだが無理やりキスをされ帰ろうとする。
しかしクルー氏に押し倒され襲われそうになり、とっさにナイフを取りクルー氏を刺し殺してしまう。
事件現場から立ち去るアリスのあとに怪しい影が…
次の日クルー氏の遺体は発見され、フランクはこの殺人事件を担当することになるが事件現場でアリスの手袋を見つけアリスが関わっていることに気づく。
フランクはアリスをかばおうとするがそこにアリスが事件に関わっていることを知るゆすり屋・トレーシーが現れて2人を恐喝する。
アリスの実家の雑貨屋で高級な葉巻を吸いその代金をフランクに支払わせたり、朝食を用意させたりと調子に乗りまくるトレーシー。
フランクは、前科があるトレーシーが殺人事件の参考人として浮上していると知り警官たちを向かわせる。
トレーシーは警官たちから逃走し大英博物館や図書館で大立ち回りを演じるが天窓から転落死する。
トレーシーの死で警察は事件を犯人死亡で幕の方向に。
一方、アリスは自首をする決心しスコットランド・ヤードに出頭する。ウォールス警部に真相を語るつもりが話し始めたところに電話が鳴り警部はあとはフランクに任せる。フランクと2人きりになり事件の真相を語るアリス。フランクはアリスをなだめ家に連れ帰ろうとする。入り口で親しい警官がいつもの調子で2人をからかうがアリスの笑顔は浮かないものだった。その横でクルー氏の家にあった絵が運ばれるのを見てアリスはっと暗い顔になる。
ヒッチコック登場シーン
おなじみのヒッチ監督登場シーンは…
最初の方。
警察署ーレストラン間移動の地下鉄のシーンでいたずらっ子な子供にめっちゃちょっかい出されぷんすかする(可愛い)
わかりやすさ★★★★★
恐喝(ゆすり)裏話
- アニー・オンドラは英語が話せない
- ヒッチコックが考えていた本来の結末
- クルー氏豹変の演出
アニー・オンドラは英語が話せない
アニー・オンドラはドイツ人女優で英語が全くダメなためイギリス人女優ジョーン・バリーが代わりに声をあてている。現在のような声の吹き替えはできないため口パクのアニーに合わせてジョーンが画面外で声だけ演じるという独特の方法で撮ったそうである。
ジョーン・バリーはのちの1931年に同監督作品の「リッチ アンド ストレンジ」の主演で出演している。
声も可愛いが「リッチ アンド ストレンジ」では非常に可愛らしい若奥様役を演じている。彼女もヒッチコック的金髪美女である。
ヒッチコックが考えていた本来の結末
ヒッチコックが当初考えていた結末はゆすり屋のトレーシーの死後、アリスは逮捕されることになり映画の冒頭の犯人逮捕のようなシーンが繰り返される。
トイレでの同僚刑事との会話
同僚「今夜も彼女とデートかい?」
フランク「いや今夜はまっすぐうちに帰ります」
これがこの映画のラストの予定だった。
しかし、この結末はあまりに陰鬱だということでプロデューサーたちに反対されボツとなった
クルー氏豹変の演出
サイレント映画では悪役は口ひげを生やしているというおきまりがあった。
だがヒッチコックはそれを外してクルー氏には口ひげをつけなかった。
そのかわり、アリスに欲望の目を向けるクルー氏のシーンにはちょっとした演出を加えた
あのシーンでは、わたしなりにちょっとおもしろいことをやってみた。
定本映画術
〜略〜
彼のアトリエのシャンデリアの鉄格子の影がちょうど彼の鼻の下に写って、ほんものそっくりの口ひげに見えるようにしたんだよ。いかにも悪役といった感じの口ひげにね!
クルー氏の部屋でいっしょに絵を描いたりピアノを弾くクルー氏の後ろでアリスが踊り子の衣装に着替えたりきゃっきゃっしているシーンけっこう好きだがそのあとの豹変を思うと…
恐喝(ゆすり)感想
- 最初の方のサイレント部分がよくわからなかったので文献を見て理解。
- アリスと画家の関係がよくわからない。フランクとけんかをしてあてつけでデートしたようであるが、もともと会う約束をしていたようだしどういう知り合い?アリスはボーイフレンドはいるが声をかけてきた男とも出かけてしまう普通に気が多い女性ということかな?
- 今回のヒッチ出演場面わかりやすぅ
- 事件後の家族との食卓でのアリス。うわさ好きのおしゃべりさんと対照的におびえてナイフに過剰反応してしまったり、緊張した様子が描かれたシーンがヒッチコックという感じがする。
- 悪役のねちねちした恐喝ぶりが光る。アリスの家での横柄な振る舞いに、逆らえないアリスとフランク、それをいぶかしむアリスの家族。少しコント的で楽しい。
- 博物館や図書館の逃走シーンが好き。以前に見た「逃走迷路」(1942年)を思い出した
この作品が私が見た一番古いヒッチコック作品になる。
それ以前のサイレント時代の作品も見れる手段はないものか…
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