第3逃亡者 ヒッチコック映画あらすじ/ネタバレ/解説/感想

ヒッチコック作品によくある事件に巻き込まれ追っかけられる系作品です

目次

第3逃亡者(Young and Innocent)の概要

1937年イギリス時代のアルフレッド・ヒッチコック監督作品。
上映時間84分。主演:デリック・デ・マーニー/ノヴァ・ピルビーム。日本公開1977年。
原作はジョセフィン・テイ作『ロウソクのために一シリングを』

アメリカ公開時のタイトルは『The Girl was Young』(彼女は若かった)。
非常に若い男女が事件に巻き込まれ追いつ追われつの物語を撮ろうというのが最初のアイデアだったそうです。
エリカ役ノヴァ・ピルビームがとても可憐です。

キャスト

ロバート・ティスダル:デリック・デ・マーニー

エリカ・バーゴイン:ノヴァ・ピルビーム

エリカの父・バーゴイン大佐:パーシー・マーモント

ウィルじいさん:エドワード・リグビー

エリカの叔母・マーガレット:メアリー・クレア

エリカの叔父:バジル・ラドフォード

ケント警部補:ジョン・ロングデン

今回初めて気付きましたが、『バルカン超特急』のクリケットおじのひとりバジル・ラドフォードさんが出演してるじゃないですか!
本作でもチャーミングなおじさんを演じてます。

あらすじ

女優のクリスティンが浜辺で遺体で発見される。
容疑者になった男性は警察署長の娘・エリカに助けられながら無実を証明するため逃走する

ネタバレ詳細ストーリー

激しく口論をする夫婦。
妻の名はクリスティン。夫は妻が若い男と浮気をしているのではないかと疑っているのだ。
妻に平手打ちを食らわされ荒天の外へ出る夫。夫はまぶたをしぱたかせている

翌日、浜辺で女性の遺体とそばにベルトが落ちていた
発見した若い男性(ロバート)が駆け寄り「クリスティン…」とつぶやく。彼はクリスティンの顔見知りのようである。
ロバートが遺体から走り去るところを女性2人組が見ていた。
警察の事情聴取でロバートは遺体から立ち去ったのは助けを呼びに言っていたと説明するが女性2人は彼が逃げているようだと証言をし、さらに遺体が死後数分ということもありロバートは殺人の容疑者になってしまう。
新聞に「女優クリスティン・クレイ殺害」「凶器はレインコートのベルト」と報道される。

警察の取り調べでロバートは遺体のそばのベルトについて尋ねられた。
レインコートのベルトは以前持っていたが「トムの帽子」という宿で盗まれたと話す。
またクリスティンとの関係を尋ねられ、3年前にアメリカで知り合った友人で原稿を買い取ってもらったこともあると答えた。
警察はロバートの金銭事情がよくないことと被害者の遺書にロバートへ1200ポンドを譲ることが書かれているため、彼への疑いを濃くしたようだ。
突然ロバートが失神するが居合わせた警察署長の娘エリカ手際よく介抱する昔ガールスカウトで習ったそうである。

ロバートは裁判が始まる前に逃亡する。
捜索のため駅に行く警官をエリカは車で送るが途中でガソリン切れで車が止まってしまう。警官たちは通りがかった馬車の荷台に乗せてもらい、エリカは自分の車を押す。(車にはエリカの愛犬タウザーもいる)
エリカが車を押していると隠れていたロバートが現れる。給油所までロバートの手を借りることに。
給油所でエリカがお金を払おうとすると持ち合わせがなく代わりにロバートが払った。
ロバートは給油所の男性に「トムの帽子」への道を聞きエリカの運転でしばらく道を走らせるが水車小屋の近くでエリカはロバートに車を降りるように言う。
ロバートは夜になったら「トムの帽子」に行くから迎えに来て欲しいとエリカに頼む。エリカには頼みごとを聞く義理はないのだがロバートは自分が無実であることを信じてほしいと訴える。「さあどうする?」と問われエリカはにらみつけて無言で車を走らせる。
水車小屋の中からロバートはエリカの車と警察の車がすれちがい何か会話を交わしているところ見るが警察の車は水車小屋に止まらずそのまま通り過ぎてしまう。エリカは警察にロバートのことを話さなかったのだ。ロバートは投げキッスを送った。

エリカは自宅で家族と食事を取っている。(きょうだいが多い)食事中もエリカはロバートが気がかりの様子。
結局エリカは食料を持って水車小屋に戻った。
ロバートは「僕の無実を信じて戻って来てくれたんだね」と喜ぶがエリカは「お金を返しに来ただけ」と言う。
エリカが持ってきてくれたパンを食べるロバート。
エリカはロバートを信じたい気持ちもあるがまだ迷っている様子だ。
ロバートはコートさえ見つかれば容疑が晴れると説明した。
殺されたクリスティンとの関係を聞かれ、出会いはハリウッドで彼女がロバートの脚本を気に入り脚本の打ち合わせで会っていたのだという。しかし彼女がまさか大金を残してくれていたとは知らなかったと答える。
ロバートが窓からパンの包み紙を投げ捨てたのを警官に見られる。警官2人が水車小屋を捜索しに来るがロバートとエリカは窓から脱出し車に乗り込む。エリカの愛犬タウザーが乗り遅れるが無事拾って逃走する。
ロバートは夜を待たず「トムの帽子」に向かうことにする。エリカは父や署の警官たちを裏切ってしまうと葛藤するが結局ロバートを車で送ることにした。

「トムの帽子」でエリカはウィルという男性が誰かからもらったコートを持っていたという情報を得る。ウィルをかばって店内が乱闘騒ぎになる。
さらにウィルは「ノビーの宿」という所にいるという情報を得たのでロバートはエリカにここまで協力してくれた礼を述べ1人で向かう。少し逡巡したのち、エリカはロバートを追いかけ協力することにした。ロバートはありがたいがあまりエリカを巻き込むのはよくないと考える。
途中エリカはいったん家族に連絡するため、近くの叔母宅に寄ることにした。
しかし叔母の家は運悪く娘の誕生パーテイの最中だった。エリカはすぐに帰るわけにはいかずしばらくパーティに参加ことになってしまう。
ロバートはエリカが遅いのでメモ書きを残し先に行こうとするがエリカの叔父に見つかり、ロバートもパーティに参加するはめになってしまう。
楽しそうなパーティのなか、ロバートとエリカは焦燥する。なんとか抜け出すが叔母は怪しみ、エリカの父に電話する。
エリカの父の手配でエリカは警官に呼び止められ停車する。ロバートは事件の容疑者と気づかれるがすぐ車を走らせ逃走する。そしてそのことはすぐ父の知るところになる
不安で震えるエリカを家に送ろうとロバートは提案するがエリカは見届けたいと協力を続ける。

ノビーの宿でロバートはウィルと接触する。ウィルはなかなかコートを渡そうとせず、騒ぎになりそうだったためロバートはウィルを無理やりエリカの車に乗せ連れ出す。
ウィルが持っていたコートはロバートのものだった。ウィルはベルトは初めからなかったことと、やたらまばたきをする男からもらったと証言した。しかしエリカはこれだけでは証拠として弱いと言う。
ウィルによると近くに古い炭鉱があるとのことなので警察から隠れるためそちらに移動することした。
炭鉱で地面がくずれ車ごと落ちそうになり、脱出しそこねたエリカをなんとかロバートたちが救出する。しかしエリカは犬のタウザーとはぐれたので戻ったところで追いかけてきた警察に確保された。ロバートとウィルはそのまま逃走した。
警察署でエリカは取り調べを受けロバートの無実を訴えた。
父が説得してもエリカは譲らなかった。父は責任を取り署長の職を辞するつもりだと話した。エリカは自分の部屋で泣き崩れた。

その夜、ロバートがエリカの部屋をこっそり訪ねてきた。ウィルじいさんも窓下に待機している。
窓から入ってきたロバートを見てエリカは抱きついた。ロバートは自首するつもりで最後にエリカに別れを告げに来たのだった。
証拠がこれ以上見つからず八方塞がりだったのだがコートのポケットにグランドホテルのマッチがあったというエリカの話を聞き、ロバートたちは最後の望みをかけてグランドホテルに行く。
エリカはウィルにホテルにふさわしい立派な格好をさせて2人でまばたきをよくするという犯人の男を探す。
警察はエリカをマークしている。
カメラがホテルのフロアを上からぐるっと映し出し、だんだん演奏しているバンドのドラマーに近づいていく。黒人風の黒塗りのメイクをしている。大きく映った彼のまぶたがしぱたかれている。彼こそが探しているまばたきの男なのだが彼の方が先にウィルに気づき動揺しだす。エリカとウィルはフロアを踊りながら探し犯人の男は焦る。
エリカの父も娘を確保しようと部下たちを連れホテルを見張る。そこにロバートがエリカを捕まえる必要はないと自ら姿を現わす。
警察がやってきて、エリカたちも引き上げざるを得なくなる。
犯人の男はエリカたちと警察の姿を見て自分を捕まえに来たのではないかと不安に駆られる。
ドラムを演奏する犯人の様子がどんどんおかしくなりしまいに倒れてしまう。騒ぎを見てエリカはガールスカウト仕込みの応急手当をしようと人混みの中をやってくる。エリカはその男がやたらまばたきをすることに気づきウィルを呼ぶ。メイクを落としたその顔にウィルは見覚えがあった。エリカは男に「ベルトをどうしたか?」と尋ね、「首を絞めて息の根を止めてやったさ」と告白した。(妻のクリスティンを殺した
真犯人が見つかり、ロバートと手を取り合うエリカ。近くにいた父にキスをし「彼を夕食に招待してもいいでしょう?」と尋ねる。エリカの父は笑顔で娘のボーイフレンドと握手をして幕となる。

小ネタ・裏話

  • ノヴァ・ピルビームは『暗殺者の家』にも出演。当時はほんの少女という感じだったが3年後の本作ではすっかり年頃の娘らしく成長した姿を見せている。しかしまだ幼くのちに典型になる官能的な「ヒッチコック的美女」とはかけ離れているので物足りなさを感じると評する評論家も多い。
  • アメリカ公開時、叔母の家でのシーンがカットされヒッチコックはサスペンスがあり、いちばんいいシーンなのに!と語っている。
  • クライマックスのホテルでのフロア俯瞰から犯人のアップのワンカットシーンはクレーンを使い、撮影に丸二日要した。

ヒッチコック登場シーン

ロバートが逃亡する裁判所の入り口で小型カメラを持って立つ報道カメラマンを演じています。

わかりやすさ★★★

なぜか意外と見逃す

第3逃亡者(Young and Innocent)の感想

ゆきずりのウィルじい、めっちゃ協力してくれるやん
ウィルじい親切。ここまで付き合いがいいとは最初思ってなかったので意外でした。あれ?第3逃亡者ってウィルじいのこと???
ウィルじいをかばって乱闘騒ぎが起こったぐらいだし周りに慕われる性格してるんでしょうね。
ロバートがエリカの部屋に忍び込んだとき外で待っているところ好き

犬のタウザーの安否が気になりすぎる
もちろん無事だとは思うのですが、エリカ宅のシーンとかでちらっとだけでも出してくれてたら安心できたのになあと思います。

エリカのガールスカウトの経験が縁を結んだ
エリカがガールスカウトで失神した人の手当てを学んでなかったらロバートと関わることもなく、さらに事件解決にたどり着かなかったと思うと不思議ですよね。

エリカを演じるノヴァ・ピルビームかわいいいい。衣装もおしゃれでぜひカラーで見たいところ。
犯人の黒人ミュージシャン風メイクで『知りすぎていた男』を思い出しました。

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